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起業 テレビ局勤務を退職しオランダに移住した鈴木さん
### テレビ局勤務を退職しオランダに移住した鈴木さん

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#### テレビ局の記者という仕事を辞め、2016年9月にオランダに移住してきた鈴木さんにお話を伺いました。鈴木さんは現在、日本茶の輸入卸やワークショップ、日本語教師、補習校教諭などをやっていらっしゃいます。P:ポートフォリオ、S:鈴木さん

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P:オランダにいらしたきっかけを教えてください。
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S:東日本大震災がひとつのきっかけでした。震災後、数年かけて日本社会の変化を意識して見ていたつもりですが、当時の自分の立場からまわりを見渡してみると、社会が分厚い利権や既得権益に覆われていることに暗い気持ちになりました。政治、産業ほか、世の中のあらゆる面で利権が猛威を振るっています。これは今でもそうですね、どんどん悪くなるように見えます。当時、私は構造的にそうした既得権益の中にいましたが、早くそこから抜け出したいと感じていました。仕事の面では、テレビのニュースで情報を伝えていましたが、構造的な問題をそのままにして記者を名乗ることに良心の呵責を覚えたり、テレビでなにかしらの問題を提起してみても、その当事者でなければ多くの人が無関心である社会への無力感があったりして閉塞感にさいなまれていました。一方で、ちょうど40歳を迎えて、何か新しいことに取り組んでみようという思いがありました。とはいっても、全く新しい仕事をしようと考えていたわけではなく、これまでの知識や経験を本当の意味で役に立てるにはどうしたらよいかと考えていました。あの震災を通じて一種の「めざめ」を経験した自分は、社会や組織に迎合して「脂をのせていく」のではなく、自分自身の信念や良心が十分に納得できる形で新しい挑戦をしようと思ったのです。そんなときに、ふとオランダが目の前に現れました。

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P:なるほど。その新しいことというのは日本では実現しようとは思わなかったのですか?たとえば、フリーのジャーナリストという道もありますよね?
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S: 日本でフリージャーナリストとして社会正義に燃える生き方もあったかもしれませんが、単純に自分自身の人生をもっと楽しもうという思いもあったので、海外ありきでした(笑)。実は、学生のころから海外に出たいとも思っていました。会社時代、営業部にいて比較的時間に余裕があったころには英会話を習っていました。そういう積年の思いが「いまだ!ここだ!」と噴き出したのかもしれませんね。

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P:順調な記者生活を辞めて海外に移住するというのは大きな決断ですよね。海外に出てからの計画はあったのでしょうか?

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S: これまで、それなりに堅実な人生を歩んできましたので、オランダに出る計画も自分なりには相当練り込んできたつもりですよ。たとえば、取材の仕事で食べていこうと考えると、企業の広告や広報の予算をあてにするようになりがちで、これでは本末転倒になります。だから、そもそも別の収入源を作ることを考えました。いま取り組んでいる静岡茶の輸入やワークショップは、静岡時代の知見や人脈、それに取材や番組制作のスキルを活かして展開しているビジネスです。お茶とテレビのスキルがどうつながるの?と思われるかもしれませんが、番組やニュースの制作は、どのように情報を集めてどのように構成して、どう見せるか、という作業です。これは、人に何かを伝えるときにとても重要な要素だと感じています。また、18年間の会社生活では、記者だけでなく営業など、さまざまな仕事をしてきたので、これらの引き出しをもっと生かすことも考えました。こういうと、スムーズにここまで来ているように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。実際には自分の持っている人間力を総動員して毎日全力で取り組んで、どうにかこうにかやっとここに立っている、という感じです。同時に、人の縁やタイミングなど、いくつもの幸運が重なったという実感もあります。いずれにしても、いそがしかった記者時代と同じかそれ以上に、いそがしく充実した毎日です。

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P:それでお茶を扱っているんですね、各地でお茶のワークショップも開催していらっしゃいますよね、他にもお仕事をなさっているようですが?
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S: たとえば、フルート奏者の妻とともにFM静岡で「武良静枝のMooi!オランダ」というラジオ番組を作って毎週放送しています。まもなく90回目の放送です。妻がパーソナリティ、私はディレクターで話題の選定や台本のチェック、収録、編集を担当しています。テレビの取材の仕事は年に数回程度。このほか、アムステルダム補習校教員、ロッテルダムのVolksuniversiteitでの日本語教師、ライデン大学日本学科の非常勤講師、塾講師、着物のトレーナーなど仕事は多岐に渡っていますが、すべて「人に情報を伝える」仕事です。日本語教師は、これも不思議な縁ですが、実は大学で専攻していたのが日本語教育でした。これまでの自分の学びや経験が仕事に生きています。

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P: オランダの生活はいかがですか?

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S: とても気に入っています。去年の春に第一子の長男が生まれましたが、毎日子どもの成長を見ることができる自分の仕事環境にも満足しています。これは、日本のテレビ局で記者を続けていたらできない経験です。歩きはじめる、しゃべりはじめる、といった子どもの成長をつぶさに見ることができる、それだけでも私のオランダ生活には価値があると感じています。

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P: 今後のビジョンはありますか?
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S: まずはオランダ語を習得して、必ず永住権を獲得します。仕事は大きく成功させます。子どもにはオランダで成人してもらうつもりです。もう少し具体的に言えば、今後はオランダでの本格的な取材活動や、日本にある特定の社会構造に向けての問題提起にも取り組んでいこうと考えています。ここオランダは自分が人生をかけて選び、降り立った土地ですから、ともすれば日本以上に愛着があると言えるかもしれません。私は日本人ですが、それよりも人類のひとりであることを意識して生きていきます。いずれ状況が変われば、日本にも再び拠点を持つことがあるかもしれません。現状からすれば、そのような希望は持ちにくいですが、やはり日本はふるさとですから、心の片隅ではそうなればいいなと感じています。最後に、ひとつだけ宣伝してもいいですか?最近、フェイスブックに「Japanse Thee Suzuki」というビジネスページを作りました。お茶のイベントなど掲載していますので、よかったらのぞいてみてください。EU基準の静岡茶、ぜひ飲んでみて下さい。
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2018-07-06