オランダで起業

ポートフォリオ・ニュースではオランダで起業したかたがたを定期的にインタビューしてご紹介しています。自薦他薦を問わずご興味のあるかたは、info@portfolio.nlまでご連絡ください。

「発酵食品と麹」の研究とワークショップを開催する茉莉花Groenさん

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茉莉花Groenさんはアムステルダムでオランダ人や日本人も含む外国人向けに、英語で発酵食品や麹のワークショップを開催しています。かなり専門的なものから素人でも楽しめるものまであり、発酵食品ファンにとっては珠玉の講座です。P:ポートフォリオ、M:茉莉花Groenさん

P:今どのような研究とワークショップをおこなっているのでしょうか?

M:ワークショップとしては、今の私が知り得る範囲での暮らしの発酵術、また日本の醸造産業の実態をお伝えさせて頂いています。具体的には味噌、醤油、酒、味醂、酢、塩蔵、乾物などの伝統食、その要である麴の作り方、旬のものを生かした保存食や常備食、そしてそれらに囲まれた生活術という名の手抜き法などです。
日本の伝統発酵食をメインにしていますが、合間にコンブチャやケフィア、また欧州に来てから作るようになった杏干しやどぶろく、テンペなども希望があり次第講座を開いています。日本の漬物の知恵を取り入れつつ、オランダで入手できる食材で作る発酵食品は新しい文化の創造ともいえ、生活の中の小さな冒険のようでワクワクしますね。
常に自由研究みたいな感じなんですが、日本やアジア諸国で培われてきた食文化と欧州でのそれとの交雑で何が生まれるか、みたいなことに興味があって日々思いついた(というかその辺にある)食材を乾燥、塩蔵、麴化したりしていると思います。あとは画一的に製法が伝承されてきた食品も、実は他国でもっとシンプルな方法で作られていたのではないか、などの疑問からリサーチ、実践、経過観察などを行っています。楽しいです。

P:発酵食品に取り憑かれたのはいつから? 何がきっかけですか?

M:取り憑かれてるというか…暮らしの一部としてもう切り離すことはできないと思います。
もともとオランダに来た時、味噌はずっと長崎の麦味噌を日本から持ってきて大切に使っていたんですが、ある時からこちらで手に入る食材で造ろうと思いたち味噌作りから始まりました。ほぼ同時期に柿酢を教えてくれたシェフがいて、農家でなくシェフから教わったというのが笑えるんですが、果実酢は基本的な天然発酵の初めからほぼ終わりまでを観察できる、素晴らしい体験学習でした。それからは、もう坂道を転げ落ちるように手作りの道を歩いてきています。

P: そういえば、今年も2ヶ月半日本で発酵の旅をしていらしたそうですが、そのお話をきかせてください。

M:毎回帰国の度に何となく自然に決まるテーマがあるのですが、今年はそれが「醤油」でした。醤油って、他の醸造物もそうですけど、とてもシンプルな原材料でできているんです。まず大豆。そして小麦、塩。ものによっては大豆だけとか小麦だけというものもあります。
私は今オランダで醤油を仕込んでいるわけですが、ここで「作っている」と言わず「仕込んでいる」と言うのは、実は仕込むまでというのは誰でもできるんですね。というと語弊があるかもしれませんが、家庭用となると量も限られていますし麴さえ作ることが(あるいは入手)できれば、仕込みまではさほど困難ではない。問題はここからで、もろみの状態をどのように観察し、どのような状態を目指すのか。醤油用の麴はどのように持っていくのか。細かいことを話し出すとキリがありませんが、今自分が仕込んでいる醤油がこのままでいいのか、ということが知りたかったですね。そこで本当に美味しいお醤油を作っている蔵元の仕事を実際に見学させて頂き、直接お話を伺いました。醤油用の製麹については深く学びたかったので、養父市の大徳醤油さんにお願いして一泊二日の強化合宿を企画し初めから終わりまでを体験学習させて頂きました。
その他も、奈良の片上醤油さんや小豆島の蔵元など、とても貴重なお話を聞かせていただきました。

個人的なテーマは醤油でしたが、奈良で尊敬する仲間と発酵合宿をしたり、好きな種もやし屋さんで勉強会兼同窓会をしたり、発酵仲間、蔵人さん、窯元さんに会いに行ったりと、移動が許す限り会いたい人に会いに行っていました。

P: 日本での発酵の旅、すごいですね。熱意がひしひしと感じられます。ところでオランダに来る前は何をしてらしたのですか?

M: オランダに来たのは2008年、ちょうど10年前ですが、渡蘭直前はあんまり面白いことはしてなかったです。遡ると、京都の芸大を卒業後すぐにニュージーランドで勉強したり働いたり旅したりぶらぶらしてたんですが、帰国後に日本でデザインと英語を両方生かせる会社にうまく出会えず、海外顧客を相手に英語関係の仕事三昧の日々でした。しかし初めての日本国での社会人経験、学ぶことも多かったです。

P:オランダに来たきっかけは? オランダの生活はいかがですか? 

M: ニュージーランドにいた際に今の夫と出会ったのですが、自然な成り行きでオランダで同居することになりました。国内でいいなと思うのは自由と創造が尊重されている点、合理的な働き方や自由な家族の形、家族で過ごせる時間がとても大切にされているところ。あと四季の移り変わりもだいたい日本と同じなので、和と欧の行事が両方楽しめるのもいいですね。

P: 今後の目標は?

O:数年前から日本にまとまった期間毎年帰っているのですが、その時々で自分のテーマに沿った蔵元、醸造元を訪ね歩いています。もともと自分の個人的興味や関心に基づく勉強のために情報を集めていましたが、素晴らしい方々に巡り会い続けアウトプットが追いつかないくらいの刺激を頂いています。
その方々との出会いで、自分自身の視野も拓けてきたような気がしています。今はとにかく恩返しがしたい。そして、そういう気持ちが常に図らずとも自然な形で拡散されまわっていってくれることを願っています。


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