オランダあれやこれや

いろいろな人が書くオランダにまつわるエッセー。書き手、常時募集しています

マスクとオランダ人
facemask.png
「マスクしないよねー、オランダ人。」 
オランダに住むわれわれ日本人が集まれば話題に上るのは、コロナ禍の中でも一向にマスクをしようとしないオランダ人の行動やその心理についてである。実際にはインテリジェントロックダウンの今、人々は集まることはできないから、SNSへの投稿で誰かが書いてることだったり、チャットルームやZoom飲み会などでの話題なのだが、「マスクとオランダ人」は日本人同士の場を盛り上げるには格好のネタである。

オランダではコロナ騒動が始まってから、RIVM(オランダ国立公衆衛生環境研究所)のアドバイスを受けたオランダ政府がマスクはコロナウィルスから身を守るのには役に立たないと一貫して主張してきた。重要なのは手を洗うこと、他人から1.5メートルのソーシャルディスタンスを取る事、そして具合が悪かったら家に居ろ、この三つだと繰り返して市民に説いてきた。まぁそうだよね。この三つを着実に実行していればなんとか乗り切れるんだろう。でも、そこにマスク着用を加えてくれてもいいんじゃないかなぁと思っている日本人は結構いるのではないだろうか。

Anderhalf (1.5)というラップソングhttps://youtu.be/SiEpIkRHerE まで作られるほどanderhalf meterは市民に浸透し、トイレに行った後もちゃちゃっと水を手にかけるくらいだった人たちも熱心に手を洗うようになり、手指消毒用のハンドジェルが全く変えない状況になり、具合が悪くなくてもロックダウンで多くの人が家に居るようになっても...要するにコロナ対策にみんなが一生懸命になってきてもオランダ人はマスクをしない。そしてヨーロッパの近隣諸国で外出時のマスク着用が義務付けられるようになっても、オランダ人は頑としてマスクをしないのだ。それどころか周辺諸国でマスク着用率が高まるのに反するようにマスク不要論だけでなく、マスク有害論さえも主張する医療関係者などがメディアに登場するようになった。

コロナ予防にマスク着用だけでは不十分であるとか、コロナウィルスは非常に小さいのでマスクをも通り抜けてしまうとかいう事は私も聞いている。でも、もしかしたらすでに感染をしているかもしれない私が他の人々に感染を広めてしまわない為には、マスク着用が有効であろうということも私は聞いている。他人に対する思いやりのためにマスクをしましょうと言うのはいかにも日本人好みの考え方だが、このコロナ時代にはグローバルに大切な考え方なのではないだろうか。冒頭に載せたのはポートフォリオさんには怒られてしまいそうな画像だが、マスク着用はやっぱり役に立つだろうということを分かり易く説明していると思う。ちょっと下品だったかもしれないが。

でも、なんでそんなにオランダ人はマスクを嫌うのだろう?
政府が思いっきりdisっているから。マスクをする習慣が無かったから。顔を隠すのは悪いことをする人だけで、マスクで顔を隠したら何か隠し事をしているようで、これはオランダの文化にそぐわないから。ただ単にマスクをしたくないから。誰もしていないから。面倒くさいから。自分には必要ないから。嫌だから。
オランダ人に聞いてみた。今は他のオランダ人に会う機会がほとんどないので、とりあえず身近にいる同居人に聞いてみた。なんでオランダ人はマスクしたがらないの?
彼は考え込んだ末に、自分はしなくていいと思ってるからじゃない?でもわかんない、と私が予想した答えをくれた。
オランダ人自身、なんで自分がマスクをしたくないのか、本当は分からないし説明できないのかもしれない。結局は嫌だから、というところに終始するのだと思う。嫌なことはしない。オランダ人らしい。

しかしそんなオランダでも6月1日から公共交通機関でのマスク着用が義務付けられることになったhttps://www.portfolio.nl/news/buz/show/3068 。いままであれだけマスク無用論を唱えていたオランダ政府の華麗な手のひら返し。それも、嫌なことは絶対しない、無駄な金は一切払いたくないという自国民の二大性質(本当か?)を知り尽くした上で、違反した場合の即罰金刑というおまけ付きでの新規則導入である。こうと決めたら文句が出ようが何だろうがすぐにやる。この変わり身の早さと実行力は見事である。この6月1日からの新規則導入に伴って、すぐに始まったのはマスク商戦だった。EtosとKruidvatのドラッグストアと、スーパーとデパートの中間くらいのところに位置するHEMAがいち早くマスクの販売を始めたそうだ。今まで不織布のマスクなんてオランダのドラッグストアのどこを探しても売っていなかったのに、新規則導入が決まってからすぐに商品発売なんて芸当ができるのは、そうなるだろうと予測をして周到な準備をしていたからに違いないと思う。洗える布マスクやベンチレーター付きの怪しいマスクの広告なんかも盛んにネットで見かけるようになった。さすが商人の国である。抜け目がない。
 
ということで、私は6月1日の朝と夜のテレビニュースが非常に楽しみなのである。ユトレヒトCS(中央駅)やアムステルダムCSでの通勤風景とマスクを着用した通勤客へのインタビューが流されるのは必至で、マスクをつけたオランダ人が何をどう答えるのか興味が尽きない