オランダあれやこれや

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たまにわコラムその10~“代えの利く”社会~
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テニスにまつわるコラムをまじかながお届けしていきます。
前回のコラムで取り上げた時間の話題にも関連して、もう一つオランダならではとも言えそうなお題が浮かびました。

ワークシェアリングという考え方はオランダ社会が先駆けだとよく言われます。
たとえば一つの職場の中でも夏季休暇シーズンをはじめとして、全社員が付与された休暇日数を使い切るのは大前提であり、お互いに不在をカバーし合う文化が当たり前のように存在します。
また、世帯に目を向けると日本で「共働き」という響きは世帯収入で言うと1+1=2というスタンスを想起させる一方、オランダでは積極的に週3日勤務や週4日勤務を選ぶことにより0.75+0.75=1.5を得ながら家族との時間も確保してワークとライフのバランスを取るという話は実際に機能しているのだと思います。
今回はそんなシェアリングに通ずるようなエピソードを取り上げてみます。

その1:テニスで「ピンチヒッター」?

公式戦扱いではありませんが、「冬コンペ」と称される冬季の半年間を使って行うダブルスのリーグ戦に参加したことがありました。
隔週ペースで日曜日に試合が組まれる中で、時には自分やペアの都合がつかないこともありますが、試合の実施が優先ですから都合がつかない場合には対戦相手と日程再調整することが可能です。

それだけでも日本の草大会と比べると柔軟だと感じますが、この大会ではなんと「大会期間中、2回までは代わりの選手に出てもらうことも可能。その場合は主催者に報告すること」という当時のわたしにとっては衝撃のローカルルールがありました。
一応、「交代者は本来の登録選手より強くてはいけない」という但し書きもあり、ここは選手の実力を数値化したレーティングで判断されるようです。
レーティング数値が必ず実力通りかという問題はさておき、テニスの試合に「代打」を送り込めるという驚きのパラダイムシフトが確かに存在しました。

その2:「父親業」のシェアリング?

かくいうわたしも、学校や補習校に子どもを送り届ける朝の役割負担を減らせないかと思案したことがありました。
たどり着いた作戦は、同じ行き先と役割を持つ近所のお父さんと手を組んで、週ごとに互いの担当日を決める「当番制」シフトを敷くことでした。
実際にこれは非常に大きな効果を生み、平日にはどちらかが出張で不在のときにもカバーができたこともしばしばですし、わたしは土曜日に浮いた時間のおかげでテニスの試合に参加できたことさえありました。


「父親は代えの利かない職業」などと言われ日本ではとりわけ“お父さん”側の意識改革が叫ばれ久しい気がします。
存在としては確かにその通りでしょうが、0(全く関われない)か1(全て自分で)か、だけで考えることもありません。
カーシェアやルームシェアなど世の中の機運にも便乗し、父親業も0と1のあいだにある「シェアリング」で頼り合うところに大いなるヒントがある、と確信する今日この頃です。