オランダあれやこれや

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ゆるベル通信 Vol.2 【非罰的な人たち】
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こんにちは。白乃ちえこです。ゆるいベルギーからゆるいお便りをお送りします。

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住宅地にある拙宅前の道路は一方通行で、その上居住者用と表示されています。
ところが、通り抜けでよく利用されるばかりか、逆走する車も珍しくありません。

そのたびに律儀に腹を立てるドイツ人の夫を 「ここはベルギーなんだから」 とやんわりなだめます。
お互いの健康のためです。

ある日、夫が家の前を通りかかったパトカーを、やや強引に停めました。
そのパトカーが逆走していたことはぐっとこらえて目をつぶり、乗車の警官に別の苦情を寄せました。
「ここは居住者用の細い道路なのに、交通量が目に余るんです」

家路を急いでいると思しき警官は
「それなら警察に届けて」
と言い残して、逆向きのまま颯爽と走り去っていきました。

一方、街中の商業地では、軒を連ねる店頭への搬入作業などで車両がよく一時停車をします。
駐車ゾーンの横、つまり往来用の車線に、です。
自分の前でそんな車が停まっていたら、対向車線が来ない瞬間を見計らって追い越します。
みなさん、じつに辛抱強く、これはもう堪忍袋の緒を強化する絶好のチャンスです。

また、二重駐車をしても文句を言う人はまれであるどころか、
「今はだまって見逃すけど、僕も私もするからね」 という暗黙の了解があるようです。
そうして流れるように機能するさまは、さながら大相撲、あるいは合気道の立ち合いのよう。

ある人がこの国の人たちの気質を 「非罰的」 と表していました。
というのは、基本的に 「お前が悪い」 とかかってくる北米の某超大国では 「他罰的」 要素が強く、
「私のせいで」 と自分責めしがちな極東某国のたおやかな民は 「自罰的」、
それに対して 「非罰的」 という描写は、実に言い得て妙だと感心しきりです。
 
欧州の大国に囲まれ、歴史の荒波にもまれながらも、しかと生きのびてきた小国ならではの
したたかで健康的な処世術なのではないでしょうか。

(つづく)

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