オランダあれやこれや

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ゆるベル通信 Vol.4 【われらがチョコレート】
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こんにちは。白乃ちえこです。ゆるいベルギーからゆるいお便りをお送りします。

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Covid-19による在宅勤務が始まる前のある日、職場でランチを取りにカフェテリアに行くと
同僚たちが口角泡を飛ばさんばかりに何やら議論している。

横に座って何のことかと耳を傾けると

同僚1 「A社のシリーズは酸味が強すぎる」
同僚2 「いやいや、あれこそがフリッツの脂質と混ぜ合わさって、相乗効果で深みをもたらすんだ」
同僚3 「私は何と言ってもB社の、あのコクこそが正統派の味だと思う」

といった様相で、お題は「マヨネーズ」だった模様。

「食にかけるこの情熱が仕事にもあればいいのに」 などというのは無粋なつっこみだと
自分をたしなめながら聞き入るランチタイムだった。

そんな熱いものを心に抱く人々ゆえ、なみなみならぬこだわりはそこここに溢れかえっている。
そのひとつは、言わずと知れたザ・ベルギーチョコレートであろう。

カカオの配合差によって大まかにダーク、ミルク、ホワイトとあるチョコレート、
ローストナッツとキャラメルが舌でとろける ベルギーが誇る 「プラリネ」、
フルーツや木の実があしらわれたタイプ等々、
いずれも好みの差はあっても 「はずれ」 というものがまずない。
ひとつぶ口にした人に幸福感をもたらせるのだから、ヒトの叡智が生んだ傑作だ。

世界のチョコレート供給の2割を担うというベルギーチョコレートにもピンからキリはある。
ピンの方は王室御用達メゾンも含め、まさに芸術品である。
繊細で色鮮やかなデコレーションや滑らかな口触り、鼻腔に抜ける香り、
あれだけの技術の研鑽にかける熱意にはただただ脱帽する。
この世で一番鼻高々なベルギー人はショコラティエではないか、などと余計な詮索までしてしまう。

そんなベルギー人が自負する伝統に、あるとき波風がたった。
2003年にEU委員会は、チョコレートに使うカカオバターの代用として
最高5%までパーム油等の植物油脂の使用を認めたのである。

それに対し、ベルギーのショコラティエたちは 「とんでもない!」 と立ち上がり、
われらがチョコレートにはカカオバターのみを使うと高らかにキャンペーンを行い、
法令などはどこ吹く風、それまでも、それからも、頑固に固有の製法を守っているという。

一方、製法にはこだわりつつも新しい素材を取り入れる冒険心溢れるショコラティエもいるようで
ゆず、わさび、山椒、胡椒、唐辛子やカルダモン、といった具合。
「そんな進取性が仕事にもあればいいのに」 などと
またしてもついよこしまなことを考える自分を戒めるのである。

(つづく)

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