ニュース

オランダ経済、コロナ危機を乗り越え回復
economygrowth2021.png
オランダはコロナ危機による経済後退を2度経験したが、今年第2四半期にはその2度目の後退も乗り越え、経済成長は今年第1四半期の3.1%を上回る結果となった。コロナ危機前の状態には戻っていないものの、規制緩和で成長にはずみがついている。

飲食店や小売店の再開で消費が高まっているが、2019年のレベルには戻っていない。2年前よりいまだに5%低い。ワクチンや検査など政府のコロナ関連支出も高いレベルだ。

このほか輸出は好調で2019年より9.3%高い。とくに、機械、化学製品、金属、輸送機器の輸出高が増えている。他の業種も、まだ2019年のレベルには戻っていないものの回復を見せている。例外はアートや文化関連だ。昨年比100%増だが、2019年に比較するとかなり低い。

人手不足は続いており、求人数が求職者を上回っている。これは過去50年で初めての状況である。


関連記事

オランダ経済回復で深刻な人手不足
wood-1076712_640.jpeg
コロナ危機による一時的な経済悪化から回復したオランダだが、これによる人手不足が深刻な状態になっている。雇用保険局UWVの7月末の求人のうち従業員が確保できなかったケースが16.5%となっている。

人手不足はオランダではここ数年続いているが、これほど高いのは初めて。雇用市場を調査したABNAmro銀行は、この状態はしばらくは続くと見ている。また、飲食業の人手不足はかなり深刻だが、現在では他の業種にもこれが拡大している。エネルギー、農業、食品、医療、建設業での雇用確保はかなり難しくなっている。具体的には、自転車による配達員(89%不足)、歯科衛生士(78%不足)、清掃従事者(74%不足)などが大幅な不足状態だ。

コロナ危機で企業活動は大きく鈍化したものの、人手不足は続いていた。政府が従業員の給与を補償するという助成金制度(NOW)のおかげで、企業は従業員解雇を免れたので、失業率は3.8%と低調が続いてきた。今企業の活動が活発化し、この人手不足に拍車がかかっている。

これを解消するためには、例えば在宅勤務を奨励するなどが上げられる。職場までの通勤距離によって就職を躊躇している人も在宅なら仕事ができるからだ。またNOW制度の終了で、解雇される人や倒産する会社が増える可能性もあり、これらが求人を埋めることも考えられるが、これにも限りがある。


アムステルダムとスキポール空港周辺、コロナでの経済的打撃大きく
amsterdam_empty.JPG
オランダ中央統計局(CBS)が水曜日発表した統計によれば、コロナ禍で最も経済的打撃を受けたのはアムステルダム市とハーレマーメア(Haarlemmermeer)であることが判明した。第3四半期のハーレマーメア市の成長率は昨年同時期の20%減となった。

最も経済的打撃を被ったのはスキポール空港があるハーレマーメアで、利用客の激減による収入後退は免れなかった。同市は第2者半期には27から29%の縮小を記録したが、これよりは少し上向きとなった。次に大きな打撃を受けたのはアムステルダム市で7%減。観光客の減少によるところが大きい。オランダ全国で経済後退は見られるが、アムステルダムの次に被害が大きかったのはフローニンゲン市。ここはコロナ禍だけでなく、ガス田の採掘減少も影響している。

逆にあまりコロナ禍の影響を受けていない地域もある。フレーフォランド州、フェールヴェ地区、ゼーランド州などはマイナス1%程度。これらの地域の主要産業は、エネルギー、卸売、保険業、畜産業などで、コロナの影響は大きくない。

オランダ経済政策分析局、今年の経済成長はマイナス5%
amsterdam_lockdown.JPG
オランダ経済政策分析局(CPB)は17日朝マクロ経済見通しの草案を発表した。ハーセカンプ局長によれば「コロナ危機はこれまでにない経済的な打撃」だという。草案によれば2020年の経済成長はマイナス5%と予測されるが来年度には3%のプラス成長が見込まれる。ただし失業率は来年度には7%にまで上がる。政府はCPBのマクロ経済見通しを9月に発表される予算案(Milioenenota)の基礎として使用する。

今回の草案は、政府による支援策は10月からは適用されず、大規模なロックダウン(接触制限)はないというシナリオに基づいている。しかしロックダウンが実施されるという想定に基づいた別の悲観的シナリオでは、2021年も経済は後退し失業率は10%に上ることが描かれている。今回の草案はCPBが6月に発表した「マイナス6%成長」というものより若干楽観的見通しとなっている。

ハーセカンプ氏は5%の経済縮小でも他の欧州諸国に比較すると打撃は少ないと述べている。しかしながら予測されている景気後退には備えるべきだとし、失業と倒産による経済的な打撃はこれからやってくるとコメントしている。さらに、コロナ危機による影響はこのGDPの数値だけでなく、これを超えた「生活の質」にも注目すべきだ同氏。例えば祭典やイベントの中止、家族や友人との交流制限といった数値に現れない影響である。

オランダ経済成長マイナス8.5%、過去最大の縮小
GDP2nd2020.png
今年の第2四半期のオランダ経済は第1四半期と比較し8.5%縮小した。中央統計局(CBS)チーフエコノミストは「この縮小は景気後退(recession) だと片付けられるようなレベルではない。2期続けての縮小で経済は10%後退した。これは1930年代の大恐慌時を上回る」とコメントしている。

国民総生産(GDP)の低下は消費の減少が大きな要因となっている。とくにロックダウンにより大きな被害を受けた文化、リクレーション(旅行など)、運輸(航空など)そして飲食業の縮小は目立つ。第2四半期(4月から6月)の消費は前四半期(1月から3月)に比較し10%減少、投資も12.4%減少している。

CBSはしかし、この経済後退はロックダウンだけが原因ではないと分析している。最初はコロナウィルスによるロックダウンが大きく影響していたが、飲食店が再開した現在でも混み合う店は多くない。消費者はいまだにウィルス感染を恐れ外出を自粛している。
輸出経済に頼るオランダだが、世界中に拡大したコロナ禍で、貿易も大きく後退した。そして観光客やサービスの輸出が途絶えたことも痛手となっている。

しかし欧州全体から見るとオランダの経済の縮小はまだましなほうだ。ユーロ域の平均より縮小率は低いだけでなく、隣国であるドイツ(10.1%)やベルギー(12.2%) そして英国(20.4%)に比べるとその衝撃は少し軽い。
(グラフはCBS)

ロックダウンから5ヶ月後のオランダの経済。借金、失業そして政府の支援
werkloosheid.jpg
3月半ばにロックダウン宣言があり飲食店などが閉鎖を余儀なくされた。そして7月から大幅規制緩和が行われ、夏休みの今、ほとんどのオランダ人が国内で旅行を楽しんでいる。一見経済は回復したように見えるが、実際のところ、オランダの経済はどうなっているのか。今後はどうなるのか。以下はオランダ国営放送(NOS)が専門家に聞いた答えである。

ING銀行の経済専門家によれば、今のところ企業にとっては追い風が吹いているという。それでもコロナ危機による損失は取り戻していない。トリオドス銀行によれば、「例えば、美容業が再開した当時には多くの顧客が押しかけ大繁盛したが、ある時点で元の状態に戻った。コロナ時の損失はそのままで残る。」と傷跡が深いことを示唆している。ABNAmro銀行は、消費は増加するもののこれまでのような勢いはなくなると予想している。失業者が増えるので長期的には消費は冷え込むだろう。

コロナ危機が始まって以来失業者は増えている。トリオドス銀行は、失業者はさらに増加すると見ている。2008年の金融危機のときも最初の2年間は失業率はそれほど増加しなかったが、実際にはその後に打撃を受けている。これと同様なことが今回のコロナ危機でも言えるという。また企業も借入が増え返済が遅れている企業も増える傾向があり、これが倒産、失業者の増加を招き、消費を減らすことに繋がる。と同銀行。

しかしながら中央統計局(CBS)の統計を見ると実際の倒産はまだ非常に少ない。CBSによれば、政府の支援策の効果が出ているという。しかしABNAmro銀行は、政府の第一回目の支援はほぼすべての企業に届いたが、第2回、第3回と回を重ねるたびに、支援の条件は厳しくなっていくため、経営が厳しくなる企業も増えるとみている。

さて以下は政府は企業に対しこれまでどのような支援を行ってきたのかの一覧だ。
NOW:従業員の給与の90%を政府が肩代わり
TOZO:個人事業主に生活保護額を支給
TOGS:企業に対する固定費に対する4000ユーロの補助
TVL:TOGSに替わるもので、固定費に対し1000から50,000ユーロの補助

これに対しトリオドス銀行はこの程度支援策では経済の復興は期待できないと見ている。1000億ユーロ以上の経済支援を行えば経済復興は期待できる。現在困難に陥っている企業を救済するだけでなく、10年後を見据え投資を行う必要がある主張している。ABNアムロ銀行も将来の不確実性が大きいため投資が滞っていることを指摘。これが経済に暗い影を落とす可能性がある。(画像は年齢別失業者数)

ポートフォリオ・オランダニュースは2004年から17年間、読者のみなさまに無料で記事を提供させていただいてきました。 広告主様による財政援助や読者のかたによる寄稿などで、これまでの間無事にニュースを発行することができたこと、心からお礼申し上げます。 今後も正確で迅速そして皆様のお役にたてるニュースを配信続けるため、ご支援をお願いしております。 以下のフォームから寄付ができます。クレジットカードだけでなく、銀行カード(オランダ、ベルギー)そしてPaypalでもお支払いができます。銀行カードの場合には支払いページで「Direct Debit」を選びます。どうぞよろしくお願いいたします。