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ロッテルダムにオランダで最も高い住宅ビル
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オランダの建物がどんどん高くなり、ほとんど高層ビルがなかった数十年前と比較すると雲泥の差である。ロッテルダムに建設中のザルムハーフェン・タワー(Zalmhaventoren) は215メートルに達した。来年完成予定のこのビルは60階建てで、住宅のほか、オフィス、レストラン、屋上の庭、ガレージそしてフィットネスクラブが入る。ちなみに、世界で最も高いビルはドバイにあるルジュ・ハリファでその高さはなんと828メートル。ニューヨークのエンパイアステートビルは381メートルなので、世界規模ではまだ低いが、オランダでは最も高いビルとなる。

高層アパートが多く建設されているのは、ロッテルダムの他にもハーグやアムステルダムで目立つ。現在高さ70メートル以上の高層ビルはオランダで200棟以上ある。

これからも高層住宅は建設が予定されているが、昨今の住宅不足の解決になりそうもない。まずは費用の問題。このザールムハーフェン・タワーを例に上げると、家賃平均は1700ユーロ。購入するには百万ユーロは下らない。超高層ビルを建てるには特別なコンクリートや鉄鋼を使用せねばならず、建設費用がかさむことがその一因だ。
現在注目されているのは、木材などのサステイナブルな建材を使った70メートル以下の中層ビル。都会へ隣接し、価格も中程度に押さえている。こういう中層住宅が増えれば、少しは住宅不足緩和に貢献するかもしれない。



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新人や中間層、住宅購入に政府補助金
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オランダでは低所得者層は政府からの補助金によるソーシャルハウスに住むことができる。しかし、仕事を始めたばかりの若者や中間所得層の家族は住居を購入できずに、高い家賃の賃貸住宅に住まざる得ない状況だ。これが今後、新築住宅の購入に際して政府の補助金が出ることになり、購入が少したやすくなる。政府は4億ユーロの予算を計上した。

4億ユーロで「手頃な不動産購入ファンド」基金が設立される。仕事を始めたばかりのスターターや年間収入が40,000から65,000ユーロの世帯は、新築不動産購入の際に最高75,000ユーロの割引が適用される。これにより、280,000ユーロ程度のアパートや家族用住宅が購入できるようになる。

購入後、住宅を売却する際にはこの補助金は返済しなければならない。さらに差益の一部も返済の必要がある。この返済金をもとに、基金はさらに別のスターターや家族を支援する。不動産価格が下がった場合には、返済金額も下がるという仕組みだ。

不動産価格の高騰と金利の上昇で、中間所得層は住居の購入がますます難しくなっている。そのため、高額の賃貸住宅に住まざる得ない。現在、オランダ全土の住宅価格平均は約400,000ユーロ。
政府は不足する住宅にも対処するため、2030年までに1500軒から5000軒の新築住宅建設を計画している。

住宅不足で大学が留学生に「ストップ」
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オランダの住宅不足は留学生にも大きな影響を与えている。9月から始まる新学期に向け、複数の大学が「部屋が見つかるまでオランダに来ないよう」呼びかけている。この呼びかけを始めたのはアムステルダムにあるVU(自由大学VrijUniversiteit)とUvA(アムステルダム大学Universiteit van Amsterdam)。どの大学都市も学生の部屋不足だが、アムステルダム市は特に深刻だ。ここ2年間は、バケーションパークがコロナ禍で空いていたためそこに住むことができた。ところが、コロナ禍は過ぎ去りバケーションパークというオプションはなくなった。

アイントホーフェン、ユトレヒトそしてマーストリヒトの各大学も先週から同じような呼びかけを始めている。ユトレヒト大学は、部屋が見つからずにオランダにやってきてテント生活を送ることを懸念して、この措置をとるという。オランダ人学生にとっても住宅不足は深刻なときに、留学生の部屋探しは困難を極める。コロナ危機以前にもティルブルフやフローニンゲンそしてアムステルダムの大学に留学した学生でテント生活を余儀なくされた人もいる。

オランダの大学はどこも学生の増加が著しい。留学生も例外ではない。2021−2022年には115,000人の留学生がオランダにやってきた。これは前年度より11,000人多い。アムステルダムの大学2校では4分1の学生が留学生だ。マーストリヒト大学に至っては留学生が56%を占める。

学生向けの住居不足はすぐに解消されないだろう。昨年だけで不足は20%も増加している。学生寮が建設されているがこれも間に合わない。住宅不足は留学生の増加もその原因の一端を担っている。オランダでは大学の国際化を進めてきたがここで足止めを食らいそうだ。

政府、中間所得者用住宅用家賃に制限か
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オランダの賃貸住宅は、政府の補助が出るソーシャルハウスと一般の民間賃貸に分かれている。前者は所得制限があるが、民間の賃貸住宅は誰もが入居できるが家賃に規制がないため、高騰が続いている。これに対し、政府は自由セクターといわれるこの中間所得者用住宅の家賃の制限に乗り出す。オランダで一番住宅難で困っているのは、この中間所得層。ソーシャルハウスに入居するには所得が高すぎるのと、この層のための住宅が大幅に不足している。

政府の提案では、いわゆる自由セクターの家賃がソーシャルハウス(家賃の上限は763ユーロ)と同様なポイント制になる。ポイント制とは、住宅の広さ、部屋数などで決まるが、144ポイントまでは、再考で763ユーロに制限されている。
現在住宅省のデ・ヨング大臣が計画しているのは、中間所得者用住宅の家賃をで1000ユーロ(187ポイント)からの1250ユーロ(232ポイント)内に収めること。このポイント内に90%の賃貸住宅が含まれるはずだという。

このシステムが導入されると、家主は家賃を自分で決めることができなくなる。現在、住宅不足が反映され家賃が大幅に上がっているが、大臣によれば政府がこれに思い切って介入するのだという。

しかしこの制度がいつからどのように実施されるかはまだ決定していない。大臣は夏以降に議会で検討し法定化を進める予定だ。法定化されると、各市町村は賃貸住宅がポイント制を遵守しているかを管理することになる。この制度は家賃の高騰を防ぐという目的があるが、同時に年金基金など住宅に投資している企業も守らねばならないというジレンマも発生する。そのほかにも現在の家賃はどうなるのか、どの地域の住宅に適用されるのかなど、解決しなければならない問題は山積みである。実際にこの法律が実施されるのは2024年以降になりそうだ。

住宅難。駐在員が戻り、家賃がまた値上がり
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賃貸物件を紹介するプラットフォームを運営するParariusによれば、コロナ禍で帰国する駐在員が増え一時的に家賃が下がっていたが、今年の夏以来また値上がりが始まっているという。政府による補助がない自由セクター(Free Sector)の家賃は7月、8月、9月には前年同月比で2.5%アップしている。家賃はこの3ヶ月平均で1平米あたり17ユーロ。家具付きの場合の平均家賃は1平米あたり18.99ユーロとなっている。ただし、家具なし、その他の設備なしという、いわゆる裸の状態の物件は同12.6ユーロと4.9%の値下げが見られる。

いわゆる自由セクターでの借家の需要は高い。オランダではたった7%がこの自由セクターの借家なので、家賃は上がる一方である。昨年はコロナ危機で帰国する外国人が多く、一時的に家賃は下がっていた。しかし入国が可能になって以来、アムステルダムなどの人気都市の家賃は上昇を続けている。アムステルダムの平均家賃は1平米あたり22.44ユーロ。このほか、フレーフォランド州やフローニンゲン州そしてヘルダーランド州といった地方都市でも家賃は大幅に上がっている。

Prerius社は、政府がなんの対策も取らなければ家賃はこの後も上昇を続けると見ている。政府は不動産投資企業が新規住宅を建てることを制限する意向だが、これは解決策ではないとコメントしている。

オランダの深刻な住宅不足、5つの問題点と解決策
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12日日曜日、政府の住宅政策に抗議する数千人が参加する大規模なデモがアムステルダムで予定されている。オランダでは数年にわたり深刻な住宅不足が続いている。家賃は上昇し続け、住宅価格は高騰する一方。その原因は?解決策はあるのか?

1.少なすぎる新規住宅建設
現在、住宅の需要に対して約30万戸が不足している。解決方法は、新規に住宅を建設するという単純なものだが、ここ数年間ほとんど満たされていない。国務省の依頼でABFリサーチ社が調べた調査では、この住宅不足は2035年になっても解決しそうにない。住宅購入熱は、超低金利のせいで収まるところを知らず、需要は高まる一方だ。

2. 低家賃の住宅不足
低価格住宅(ソーシャルハウジング)を提供する住宅組合(Woningcorporatie)に対する税金が問題となっている。50戸以上の公営住宅を賃貸する住宅公団に対する税金が2012年から導入され、毎年17億ユーロが課税されている。これにより住宅組合は新規に住宅を建設することをやめた。この税金を廃止すれば、住宅組合も新規に住宅を建設し住宅供給を増やせるはずだ。

3.フリーセクターを牛耳る投資家
低所得者用住宅(ソーシャルハウス)以外の住宅はフリーセクターの住宅と呼ばれ、家賃は自由に設定できる。投資家がフリセクターの住居を買い占め、高い家賃で賃貸しているのも大きな問題となっている。機関投資家だけでなく、個人も貯蓄より不動産投資のほうが利回りはいいため、住宅を買い賃貸している。住宅不足を反映し、家賃は上がる一方だ。住居の賃貸に対し、家主の所得税が優遇されているが、これを廃止することで解決へ一歩近づくはずだ。

4.フリーセクターに翻弄される
政府によるフリーセクターの家賃制限もデモ参加者の要望のトップにある。公営住宅の家賃は、ポイント制で決まるが、同じような制度をフリーセクターの住居にも適用することを求めている。

5.格差は広がるばかり
上記の問題に翻弄され社会格差が広がる一方だ。低所得者は所得の多くを家賃に持っていかれ、ますます貧困化している。これまで低家賃の住宅が立ち並んでいたエリアは、取り壊され、もっと実入りのいい高級住宅に建て直されている。こうして大都市は、高級住宅を賃貸したり購入できる金持ちばかりが住む街に変貌している。これに対し政府は本腰を入れて対策を練らねばならない。今回のデモは政府の早急な対策を要求しており、多くの人が参加すると見られる。

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