2022-04-21
消費者信頼感指数(消費者マインド)、かつてない低さ

これまでの好景気で楽観的だったオランダの消費者、今では打って変わってとてつもなく悲観的に陥っている。今後の経済の陰りを懸念して、大きな買い物は控えている。オランダ中央統計局は1986年から毎年アンケートによる消費者信頼感指数を測っているが、現時点でこれまで最低の低さとなっている。信頼度の低下はインフレが高まりつつあった昨年の9月から始まっている。さらにウクライナ戦争で物価はさらに上昇し、同時に消費者信頼感は下がっていく。
現在の指数はマイナス48と一ヶ月前のマイナス39から一段と下がっている。言い換えるなら将来の経済に対し楽観的な人よりも悲観的な人が多いということになる。コロナ危機のロックダウン時にもこれほど信頼度が低いことはなかった。
消費者信頼度指数(消費者マインド)は今後の経済を予測する上で重要な要素である。信頼度が低いと購買力が下がり企業の成長が滞る。
ただコロナ反動効果はまだ残っており、ロックダウンで消費できなかった分を飲食店や小売店で取り戻そうと2月までの消費は上向きだった。また労働市場も非常に順調で、3月の失業率は3.3%と過去数十年の平均を大きく下回っている。
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2020-02-27
「消費者のマスクなどのパニック買いは不要。」オランダ国立衛生環境研究所。

まだオランダではコロナウィルス感染者は出ていないが、近隣国での発生を見るとオランダで感染者が出るのも時間の問題である。感染を防ごうとオランダの消費者はマスクや消毒液などを先を争うように購入しており、価格も大幅に上昇している。これに対し国立衛生環境研究所(RIVM)では、不要な衛生用品は買う必要はないと発表している。
マスクはほとんどの店で売り切れている。卸売業も供給のため残業している。これまでマスクはほぼ輸出用だったが、このところ国内需要で手一杯だという。ハンドジェルという消毒用のジェルも飛ぶように売れている。RIVMはきちんと手を洗えば問題ないというが、心理的にハンドジェルを使いたいという人が多いようだ。RIVMのサイトでは、「手を定期的に洗う。くしゃみや咳は手ではなく腕で抑える。ハンカチではなく紙のティッシュペーパーを使用する。」という3点を推奨している。ただし高齢者や呼吸器患者などのリスクが高い人は、手洗いのあとに消毒したほうがいいという呼吸器科の医師は述べている。
クラウドファット(Kruidvat)やエトス(Etos)といったドラッグストアではハンドジェルが通常の5倍売れているという。ただパニック買いの必要はなく、クラウドファットによれば「これは想定内なので、製造を増やしているので在庫は問題ない。」という。
ただマスクに関しては、品不足と価格の上昇が見られる。日曜大工ショップで販売している粉塵用マスクはどこも売り切れ。オンラインショップでも品薄で、あったとしても高値で売られている。これに対してもRIVMは、「コロナウィルスの感染を防ぐために特別な品(マスク)を購入する必要はない。」という見識を変えていない。マスクは(自分が感染している場合)他人に感染させないという意味では必要だとRIVM。消費者の恐怖心理を利用して法外な値段でウェブショップに提供する業者もいるが、オランダ大手のBol.comは見つけ次第これを削除しているという。
2020-01-29
蘭電気大手フィリップス消費者家電部門

蘭大手電気企業フィリップスは家電部門を切り離す準備にとりかかっている。アイロン、コーヒーメーカー、掃除機といった機器製造を取りやめる。フィリップスはすでに照明とテレビ製造部門を処分している。今後は個人用の美容機器やシェーバーそして医療機器を中心に製造販売に力を入れるという。
今後フィリップスが製造・販売を切り離すのは、上記の機器やエアフライヤーなどの家電だが、プロセスが完全に終焉するのは1−1年半先とみられる。家電の販売ではフィリップス2019年には23億ユーロの売上を計上しているが、これらの部門は売りに出されると見られている。
フィリップスが家電を放棄し、パーソナルケア製品と医療機器に特化するのは中国などの新興勢力と対抗しない戦略である。
一方で、フィリップスのブランド力が落ちたと見る向きもある。フィリップスの革新的で新しい製品を世に出すというイメージは消えている。
2019-04-18
オランダの消費者物価値上昇率EU平均の2倍
オランダの消費者物価は3月時点で昨年同時期の2.9%上がっている。これはユーロ圏平均の1.4%の2倍である。オランダ中央統計局がユーロスタット統計をもとに調べた結果である。この値上がり幅は1997年以来ユーロ圏で最も高いもの。
オランダで特に値上げ幅が大きいのは食料、飲料そしてエネルギー費である。エネルギー費は1年前と比較し16.7%の値上がり。これは料金のみならず税金の値上げによるもの。オランダに続き値上げ幅が大きかったのはキプロスの12.9%、ベルギーの8.8%そしてドイツの4.7%である。
飲料や食料の値上がり率もユーロ圏では最も高く3.6% ユーロ圏平均は1.3%である。この値上がりは低率付加価値税が6%から9%に上がったこととエネルギー税の値上げが主な要因だ。
通常オランダの値上がり率はユーロ圏の平均とほぼ同じ。過去10年のオランダの物価上昇は14%だが、これもユーロ圏の平均並みである。
2019-03-14
政府の気候変動対策、消費者のエネルギー税増税を止め企業への負担を増やす方向に
気候変動の原因であるCO2削減対策費用が、今年度からエネルギー代(税)の値上げとして消費者に転嫁されたことに対し、国民からの反感は大きいものがあった。水曜日、オランダ経済政策分析局(CPB)と生活環境計画局(PBL)の報告書を受け、ルッテ首相とヴィーベス経済・気候担当相は、2020年からエネルギー税は昨年度のものに戻すと発表した。また、今回の発表では、現在の計画がCO2削減目標である49%という数字におそらく到達できないこと、さらに産業界の取り組みが十分でないこと、そして低所得者に打撃を受けることを認めている。
新案の中心となるのは、企業に対するエネルギー税の増税と消費者への負担の低減である。巷では、政府の新案は来週20日に迫っている地方選へのアピールだと言われているが、ルッテ首相はこれを否定している。
産業界向けには、罰金とボーナスシステムを導入。排気ガス量が規定より多い場合には罰金、少なければボーナスを出すという制度である。消費者向けでは、エネルギー税は減るものの電気自動車購入の際の助成金がこれまで最高で6000ユーロだったが、この金額は減る。工業以外でCO2発生源となっているのは酪農業界。ここでもCO2発生を減らす手段が検討されているとともに、これまでCO2を地下に埋めるCCSという方法が計画されていたが、これについては制限される。
2019-02-26
「処方無しで劇薬もネットで入手可能」消費者連盟警鐘を鳴らす
オランダの消費者連盟(Consumentenbond)の調査によれば、医師の処方なしで大抵の薬がインターネットで購入できると判明した。同連盟は保健省大臣に対し、劇薬入手など、ネットでの薬品調達の危険性を通達した。
劇薬だけでなく、通常の処方薬も薬局で入手せずにネットで購入すると、質は保証されていない。保存方法が適切でなかったり流通の際に質が低下するという問題があるだけでなく、偽物である場合もあるという。さらに医師が処方する場合には、他の薬との併用の危険なども告知するが、自分でネットで購入する場合にはこれは考慮されていない。実際オランダでは医師の処方箋なしで処方薬の購入は禁止されている。ネットで医薬品を販売するサイトは違法であることも少なくない。ひどい場合には現金やビットコインでの支払いも要求している。
消費者連盟のキング氏は次のように語っている。「ネットでの薬品購入の際、オランダの法律を回避するために国外の医師と薬局を利用するという形式がとられる。例えば、医療に関する質問票を記入したあと、ルーマニアの医師が処方しイギリスの薬局経由で抗生物質を購入するといったルートで入手できるのだ。オランダの保健省(VWS)はこれを阻止したい意向だ。
消費者連盟は国内外12のネットショップから医師の処方なしで20種類の処方薬を注文した。抗生物質や睡眠薬だけでなくガンの治療薬も含んでいる。このうち16の薬品はオランダ、イギリス、スイス、インドそしてシンガポールから発送された。オランダ衛生研究所(RIVM)が入手した薬品を調査したところ、今回入手したほぼすべての薬品は箱に書かれている成分と同じものが入っているという。ただ、抗生物質では通常500mgのものが625mgと異なるものがあった。
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