2022-06-14
オランダ深刻な人手不足で、パリ郊外のスラム地区から雇用?!

「フランスのバンリューと呼ばれる大都市郊外の貧しい移民の多い地区から、失業者の若者をオランダに来てもらう。」深刻な人手不足で悩むオランダで雇用担当のファン・ヘニップ大臣は斬新なアイディアを発表した。出稼ぎ労働者を国内にもっと入れない限りオランダの経済は回らないと、同大臣がAD紙のインタビューで述べている。
大臣は、オランダに住む約100万人の無職の人たちをターゲットにしたが、次には働いている人もパートタイムでもうひとつ仕事をと呼びかけている。それでも人手不足は解消できないため、「若年失業者が非常に多いフランスとくにバンリューから人材を雇用したい。フランスだけでなく若年失業者が多いスペインも同様だ。」と同大臣はコメントしている。
パリのバンリューは、ドラッグの密売や犯罪の巣窟といわれる問題地区だ。ファン・へニップ大臣は、ここから青少年を迎えオランダで働けば、将来の道も見えてくるだろうと抱負を述べている。同大臣は先月議会にて、「モロッコやエジプトやチュニジアなどからの移民労働者を雇うよりも、欧州内から労働者を雇うべきだ」と発言した。 (画像:パリのバンリューの若者を描いた映画 La Miserableから」
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2023-05-21
続く人手不足、人工知能(AI)で解決か?

終わりの見えない人手不足がオランダの経済を悩ましている。とくに医療介護やIT部門での人手不足は深刻だ。これを人工知能(AI)が解決できるのではと、すでに取り組みが始まっている。
アペルドールンにあるホームドクター診療所では電話が鳴る回数が減っている。ドクターのアシスタントがAIのアシスタントを使っているからだ。24時間いつでもチャットボットが患者の相談に乗っている。まず症状を聞き、それから詳細をシステムに記入する。これだけでもアシスタントの仕事は大幅に減る。
また高齢化するオランダでも診療の予約が埋まっている。ホームドクターのデッカー医師は、「医者と話そう。(Praat met de Dokter)」というチャットボットを開発した。このチャットボットでシンプルな質問や疑問はシンプルに答えられるという。それ以外の複雑な症状には、診療時間を多くとる。デッカー医師は、AIが医療介護界の人手不足の解消に少しは役立つと見ている。とくに事務関連では大きく貢献できそうだ。
ChatGPTを開発したOpenAIによれば、AIが取って代わることができるのは、数学、税務アドバイス、財務アナリスト、ライター、ウェブデザイナーの業務などが含まれるという。AI導入でこれまでの労働市場が大きく変わることは必至だ。突然バーチャルなプロのアシスタントが自分の横に座るということが起きるだろう。
コンピュータのプログラムコードも書けるというAIで、プログラマーの職がなくなると憂いている人もいるが、逆にAIにコードを書かせるという視点で業務を行うというソフト開発会社コードレス社はこの動きを歓迎している。同社は実際に生産性が驚くほど上がると見ている。
AIに仕事が取っていかれ職を失うことを恐れる人が多い反面、AIが職を増やすと見る調査結果もある。(World Economic Forumの調査) 今はホームドクターがAIを利用しているだけだが、これが多くの医療現場で利用されるようになることは確実だ。これにより軽減された労働で新しい分野の開発が進むのであろう。また、AIを教育するという仕事や、さらなるイノベーションを生むための仕事が、今後重要となるだろう。
2023-04-19
採血ロボットで人手不足解消

医療技術者や看護師の代わりにロボットが腕に注射して採血するのが可能になる。ユトレヒトの企業フィテストロ(Vitestro)が開発したロボット機械で、これが市場に出ると数百万人の採血が可能になる。待ち時間なし、人手なし、という画期的な機器である。化学療法などで血管が硬直している人への注射や採血は難しいが、これもロボットが正確に注射ができる位置を見つけることが可能だ。
フィテストロ社は現在EUの認定を待っているが、これを受け取ればすぐに開始が可能となる。人手不足で悩むオランダの病院やラボも導入を待っている状態だ。
ラボや病院のスタッフがまずバーコード付きの試験管をロボット機械に入れる。患者はロボットのスクリーンに出ている個人データを見て確認。その後ロボットに腕を入れると、消毒が行われ、人工頭脳と赤外線を利用し正確な注射位置が見つかる。もし注射位置が見つからない場合は、他の腕を試すよう指示が出る。一連の操作は機械の中で行われるため、注射針は見えない。
オランダでは10年後の2032年には13万7千人の医療従事者が不足すると予想されている。この血液採取や注射だけでも自動化することでかなりの人手不足が解消できる。
2022-11-29
病欠過去最多、人手不足に拍車

保険会社ナショナル・ネーダンランデン(NN)の調査によると、今年の病気による欠勤率は5%と20年ぶりの高さとなった。とくに精神的な問題による欠勤が目立つ。これによりただでさえ人手不足の労働市場がさらに逼迫している。
今年の第1四半期には病欠は6.3%という歴史的にも最高の数を記録した。しかしその後病気による欠勤は減っていたのだが、第3四半期にはまた増加し、5%となった。
ほとんどの場合、これは身体的な問題による短期間の欠勤である。とはいえ、過重労働者の増加は懸念材料となっている。また「欠勤の 3 分の 1 は、精神的な病に関連している」と、NN 社。
「6 年前は、わずか 5 分の 1 だった。」オランダ中央統計局の最近の統計によると、精神疾患のある従業員は自宅で過ごす時間がはるかに長い。平均して、その他の理由で欠勤した従業員の 2 倍以上の長さである。
労働力の不足は、従業員と雇用主の両方に大きな負担をかけている。オランダ統計局によると、教育および育児に携わる病気の従業員の 10% 以上が、欠勤の主な理由が仕事のプレッシャーであると回答している。ヘルスケアや ICT の分野では、これまでより多くの従業員が過労になっている。
雇用主の 90% がスタッフのメンタルヘルスを気にかけていると述べているが、実際にそうしていると答えた従業員は 60%にすぎない。そのため、まだまだ改善の余地がある。
2022-07-22
人手不足でATMから現金が消える?!

オランダでは現金の利用がかなり減少しているものの、ときどき必要になるときはATM(現金引き出し機)を使う。ATMの中にある現金は、現金輸送車に乗って運ばれてくる。ところが、深刻な人手不足でこの現金輸送車による現金供給回数が減る可能性がある。
現金輸送を行っている会社ブリンク(Brink)でも人手不足は免れない。とくに夏には夏休みをとる従業員が多く、人手不足に拍車をかけている。その上コロナ感染による病欠も多い。このため輸送回数を減らすしかなくなった。
ブリンクは、「すべてのATMが空っぽになるわけではない。しかし、ぎりぎりまで現金引き出しを待たずに、定期的に行ったほうがいい。」とアドバイスしている。オランダのATMは「Geldmaat」と呼ばれ黄色い窓で統一されている。ABN Amro銀行, ING銀行、RABO銀行がひとつのATMで共同に行っているもの。
2022-05-16
小売店、人手不足で閉店時間を早めるなど苦肉の策を

オランダの人手不足は深刻な状態に陥っている。長引くスキポール空港での大混雑も人員不足が原因だ。飲食店の人手不足も申告だが、小売店も例外ではない。閉店時間を早めたり、夜間開店日をなくしたり、利益率の低い支店を閉鎖するなど、苦肉の策を強いられている。
現在小売業界の求人は4万人。店員だけでなく配送分野でも同様な人手不足問題を抱えている。5−10%の求人が埋まらないという状態が続いており、競合との奪い合いも激しい。
コロナ規制が終焉し、やっと小売店も活況を帯びてきた矢先にこの人手不足。小売店にとって良い販売員は最も重要な要素である。販売員の質が悪いと顧客は離れていく。小売業界団体によれば、この人手不足は構造的問題であるため、小手先の工夫では改善しないという。思い切ったイノベーションと自動化により、人の手を要さず運営ができるような店作りが必須となる。例えばすでに多くのスーパーマーケットで取り入れられているセルフ・レジ(顧客が商品をスキャンして支払う)を導入したり、倉庫での作業をロボット化するなどに大きな投資が必要である。
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