2023-01-18
法改定で薬がどこでも購入できる?! 薬局が懸念

現在国会では条件付きでどこでも薬の販売ができるような法改定を検討している。コンピュータを通じた遠隔操作で薬剤師が消費者の要望に答え必要な薬を販売するというものだ。この改定について薬局やドラッグストアは懸念を示している。
「この法改定はスーパーマーケットからの要望で行われるもので、消費者へのサービスというよりもあくまでも利益拡大を狙ったものである。この法律が施行されることになると、薬剤師なしで、ホームセンターやガソリンスタンドそしてディスカウントストアで薬が買えるようになる。店では単にアドバイスをするiPadを置いておけばいいだけだ。」とドラッグストア協会は批判している。コンピュータのスクリーンを通じてアドバイスは受けられるものの、危険はま逃れない。「例えば点鼻薬を大量に使用し中毒になる可能性もある。」と同協会。
ドラッグストアには全土で約5000人の資格を持った店員がいる。これらの店員は薬剤師ではないがドラッグストアで販売する薬についての知識は十分ある。協会はこの資格のために多額な投資をしてきた。
スーパーマーケットは「スクリーンを通じて適切なアドバイスができるのだから、問題はない。開店時間も長いのでいつでも対応可能だ。」とドラッグストア協会に反論している。
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2023-03-09
オランダの農業従事者、農薬による健康被害増

オランダの農家で働く人たちの血液に農薬に含まれる成分が多く含まれ、農家のハウスダストには144種の有害な農薬成分が見つかった。ヨーロッパの基準ではこれが規制することが難しい。複数の成分が身体にどのような影響を与えるのかを見極めるのが難しいからだ。研究者は、パーキンソン病やガンそして生殖能力の低下などが関係すると懸念している。
アデマ農業大臣が下院に農地に使う水の水質に関し書簡によれば、オランダの農地の42%が汚染されているという。窒素やリン酸塩などの肥料による汚染である。また農薬による汚染も進んでいるという結果がワーヘニンゲン大学がEUのために行った調査でも明らかにされていう。汚染は農地だけでなく農家そして人体にも広がっている。
農薬による汚染は、地域によって大きく異なる。ある場所では、毒性基準を千倍以上超えている。欧州食品安全機関 (EFSA) によると、ハウスダストに含まれる物質の 40% が「おそらくまたは確実に」発がん性である。さらに、薬物の 33% は内分泌かく乱物質であり、63% は生殖能力に影響を与えたり、胎児の異常につながる可能性があるという。またパーキンソン病も引き起こす可能性が高い。この病気は世界で急速に増加している脳疾患で、農薬の使用の増加と比例している。
2018 年、オランダ国立衛生研究所RIVM は地元住民の調査で果物の栽培と疾病の関連性を発見した。その 2 年後、保健評議会は、脳疾患のパーキンソン病、アルツハイマー病、および筋肉疾患の ALS との関連性を立証する国際的な研究を指摘している。
有機農法は化学農薬を使用しないが、農場はサプライチェーンや周辺の畑を通じて接触することもある。「輸入された大豆は汚染されている。また、船の船倉は、昆虫の被害から貨物を保護するために、非常に有毒なシペルメトリンで処理されている。」
別の学者は、農地の汚染は喘息、花粉症、多発性硬化症などの免疫疾患の増加との関連していると指摘している。
農地の汚染は間接的に消費者へも影響を与えていることは確かだ。
2022-06-05
果物は農薬まみれ。使用量は増加の一方

果物や野菜に使う農薬は使用量が増えているだけでなく、健康への害も無視できないレベルになっている。欧州委員会(EC)は2020年に農薬の制限を発表しているが、実際に使われている農薬は増加の一方だ。非営利団体の農薬使用反対ネットワーク(Pesticide Action Network - PAN)の調査によれば、果物の農薬の使用量は9年前に比較し53%増えている。PANは果物に含まれる有毒の農薬の種類と割合そして生産地国別に調査した。(結果は下のリンクで)
ECが制限しているにもかかわらず農家はなぜ農薬を使うのか? 農薬を使う目的は、カビ、雑草、害虫を防ぐためだ。とくに果物は野菜に比べてカビや害虫に弱いため、農薬の使用量も野菜の数倍だ。問題は、農薬を使えば使うほど、カビや害虫は農薬に耐性を持つようになり、この結果使用量はさらに増すという悪循環だ。
当然のことながら農薬は体や自然に悪い。農薬はガン、奇形、脳の病気、パーキンソン病などと深い関係があるという。またホルモン分泌にも影響を与えている。
PANは農家が化学肥料や農薬ではなく、オーガニックなものを使うよう推進すべきだとしている。そのために、低農薬あるいは無農薬の果物を買いやすくする(値段を下げるなど)ことを提唱している。
果物を洗っても毒は流れない。植物自体が毒を吸収しているからだ。妊婦や小さな子どもは有機や無農薬製品をとることが推奨される。ただ、有機や無農薬野菜・果物は値段が高すぎて誰でもが入手できるわけではない。これを政府はなんとかすべきだとPAN。以下はPANが調査した農薬の濃度が高い野菜・果物である。詳細はリンクの報告書を参照。
■ 農薬まみれの野菜・果物
イチゴ、ほうれん草、白菜、ネクタリン、りんご、ぶどう、ピーマン、サクランボ、桃、ナシ、セロリ、トマト、ケール
■ 比較的農薬を使っていない野菜や果物
アボカド、とうもろこし、パイナップル、玉ねぎ、パパイヤ、アスパラガス、メロン、キウイ、キャベツ、マッシュルーム、マンゴー、スイカ、さつまいも
2020-12-21
本日欧州医薬品庁(EMA)が承認するファイザーワクチンとは

長いこと待たれていたコロナワクチンが本日欧州医薬品庁(EMA)によって本日承認される予定だ。もちろんこのワクチンに対し疑問を持つ人もいれば、絶対に接種を受けたくないという人もいる。このワクチンはいったいどういうものなのだろうか。
最初に承認されるファイザーのmRNAワクチンは、コロナウィルスの遺伝子コードの一部を注入し、免疫系がそれに対する反応を構築するもの。オランダ国立衛生研究所(RIVM)によれば、このワクチンの接種後90%の人が免疫を形成するという。
ファイザーのワクチンの難点の1つは、零下75度の温度で輸送および保管する必要があることだ。おそらく次に承認されるモデルナ社のワクチンは零下20度で保存できるため輸送などのロジスティックはファイザー社のものより簡単だ。
さてこのファイザーワクチンは副作用があるのだろうか。テスト段階では副作用は筋肉痛が発生や発熱などだったが軽度だと発表されている。ただ米国や英国ですでに接種が始まっているが、アレルギー反応を起こした人もいる。
EMAによるファイザー社のワクチンが承認されると、オランダではいつからどのように接種が開始されるのか? 通称コロナ大臣のデ・ヨング大臣によれば、オランダでは2021年1月8日から、まず介護士を優先に接種開始する。次に障害者ケアと在宅ケアの従業員、そして介護施設の入居者となっている。その他の人は来年春になりそうだ。
2020-06-14
オランダ、他の3国と共同でコロナワクチン開発に英製薬会社と契約

オランダはドイツ、フランス、イタリアとともに、コロナウィルスを開発中の製薬会社アストラゼネカと少なくとも3億回分のワクチンを購入する契約を結んだ。ワクチンはまだ研究中で実際に製造が可能かどうかまだ不明であるが、国民健康省大臣デ・ヨング氏が国会で報告した。ワクチン開発には英国のオックスフォード大学の研究員が関わっており、現時点で大規模な臨床段階にある。現在1万人が臨床実験に臨んでいるが、今月末には3万人が参加する予定だ。
デ・ヨング大臣によれば、開発の失敗はあらゆる段階での可能性がつきまとう。そのため、オランダは他の3国とともに「ワクチン同盟」を結び開発に参加することとなった。WHOによれば現在世界で臨床が行われているワクチンは10種類ある。さらに臨床実験以前の段階では126のワクチンが開発準備中だ。
今回のコロナワクチン開発が成功すれば、今年末にはヨーロッパで3億から4億回分のワクチンが利用可能となる。
アストラゼネカ社はEU諸国だけでなく、イギリスやアメリカとも契約を結んでいる。
2020-05-06
オランダのバイオテック企業、信頼度が低いコロナ検査薬を販売

オランダのバイオテクノロジー企業インゼック(Inzek)は、信頼度が低いコロナ検査製品を150万個売っていたと、全国紙Trouwが報じている。10分間で非常に正確な結果が出るとうたったビオゼック・テスト(biozek-test)は、すでに世界20カ国で販売され、オランダでも15ヶ所の病院や研究所で使用されている。
スペインでの調査によれば、コロナの症状がある人をこの検査薬で調べたところ、正確な結果を示したケースは半数以下だったという。また米国のジョージタウン大学は臨床試験の結果、このテストを「混乱を招くもの」と評価した。オランダのラットバウト大学病院の研究者は、信頼度が低い検査は非常に危険だと批判している。陽性なのに陰性という結果が出た場合、知らずに人と接触し感染させるリスクが高い。
インゼック社は中国で生産されたこのコロナ検査薬を「オランダ製」として販売していた。そしてスペイン、ロシア、セルビア、ベナンの政府や病院は「オランダ製」なので信用がおけるとして購入していたという。インゼック社のエンジニアは、自社の製品は90%の精度だと反論している。
ただEUおよびオランダ公衆衛生環境研究所(RIVM)によれば、コロナに対する抗体を正確に実証できるスピードテストはまだ存在しないという。
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