2023-03-06
エネルギー価格は下がっても物価高さらに加速

バケーション、保険、毎日の買い物、外食などすべてが値上がりしている。ところがこのインフレの元凶だったエネルギー価格はずっと下がり続けている。エネルギー費が下がってもインフレが続くのはなぜなのだろう。先週発表された統計によれば、製品とサービスの平均価格が1年前より8%上昇。とくに食品は15%も値上がりしている。旅行、交通、外食などのサービスも軒並みの値上がりだ。これと逆に下がったものといえばエネルギー価格。ただし昨年の急激な値上がりを見ると、この値下がりも微々たるものかもしれない。
生産にはエネルギー価格が大きく影響するが、まだこの値下がりは製品には反映されていない。というのも大抵の生産者は年間でエネルギー費(光熱費)を契約しているので、途中で変更ができない。光熱費が製品やサービス価格に反映されるのは数ヶ月かかるという。
さらに製品価格は光熱費だけでなく他の要素も反映される。原料費や金利の上昇そして給与の値上がりだ。今年になって平均給与は7%上がっている。給与が上がった分だけ消費者はお金を払う。そして経営者側は給与の値上げ分を価格に反映させる。という悪循環で値上がりが続くのだ。この値上がりはいつまで続くのだろう。
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2023-06-01
終わらないインフレ、5月は6%価格上昇

オランダ中央統計局が発表した5月の物価は昨年同時期と比較し6.1%上昇した。この増加率は4月の5.2%を上回る。とくに食品価格の上昇が目立ち、12.8%という高い上昇率を示している。工業製品価格、輸送や医療そして飲食店などの価格も上昇。これに対しエネルギー価格は18.5%下がっている。
オランダの物価上昇はすでに1年半続いている。毎月平均前年同時期比4%上昇している。
オランダでは賃金も上昇が続いている。雇用主団体AWVNによると、5月に合意された労働協約はまた上昇した。暫定統計によると、先月合意された平均賃上げ率は7.8%だった。これはこれまで測定したうちでも最高の増加額である。
オランダの物価上昇はとどまるところを知らないが、欧州他国ではインフレ率はオランダより低い。ヨーロッパ統計局ユーロサットによれば、ドイツ、スペイン、イタリア、フランスでは物価上昇に歯止めがかかりつつある。
2023-03-31
インフレやや収束するものの食品15%の値上がり

日常の買い物がますます高くなっている。エネルギー価格の低下でインフレはやや収まっているものの、食品の価格は15%も上がっている。オランダ中央統計局(CBS)の発表によると、3月のインフレ率(昨年同時期比)は4.4%と2月の8%と比較しやや下がっている。インフレの比較対象となった昨年の3月はウクライナの戦争が勃発しエネルギー価格が暴騰したときだ。
月ごとの比較でも価格は上昇し続けており、3月は2月に比べ0.2%上がっている。とくに食品価格の高騰が目立ち、1年前に比べると15%も上昇している。2022年の秋からの食品価格の上昇は顕著である。とくに乳製品、コーヒー、菜種油、パン、米、肉の値段が大幅に上がっている。調査会社GFKの調査によれば、1年半の間での食品価格の値上がりはなんと30%近い。
この食品価格の高騰は欧州全土で問題化している。ドイツでは食品価格が1年間で22%も高騰している。欧州中央銀行はこの価格上昇を懸念し、インフレ抑制のため金利の早急な上昇を図った。
小売業界は2月の売上が昨年同月と比較し8.5%上昇している。この売上上昇は価格の値上がりを反映するもので、実際の取引高は2.9%下がっている。
この値上げで貧困家庭だけでなく中所得者家庭も生活が苦しくなっている。
2023-01-06
超インフレ時代、貯蓄?ローン返済?何もしない?

オランダそして欧州では10%を超えるインフレが続いているが、いったいどうしたらお金を失わないか、将来に備えられるか? という疑問は誰もが持っている。株式投資や不動産投資は過去のものになりつつある今、債権投資か預金か? この疑問に「お金ガイドGeldgids」の編集長が答えている記事をVolkskrantから一部引用する。
10%のインフレ時代に0.25から1.3%の利子で貯金するのは馬鹿げているように見える。インフレが資産を食いつぶすからだ。ただ、ボイラーも車もインフレで高くなる一方なので、貯蓄をするのも一理ある。将来の出費に備え貯蓄である。
さてローンの返済だが、これは急ぐ必要はないというのが、この編集長の見解だ。とくに現在年利2%程度を払っている人はそのまま置いておくほうがいい。高金利になったときに手元に貯蓄のバッファーがあるほうがいいらしい。ただし、固定金利がいつまで続くのかをしっかり見直したほうがいい。今後金利が上がると、それが下がるまでにはかなりの時間がかかる。
光熱費やエネルギー費も長期的視点で見たほうがいい。今年から上限制となるので大抵の人は光熱費が下がる。しかし、2024年からはまた上がる可能性は大きい。ガスのコストが下がっているとはいうものの、来年からはまた月に50−100ユーロは上がるはずだ。まだ行っていない人は、毎月の請求額からエネルギー供給業者が現在差し引いている金額を見たほうがいい。金額は正しいか?特に光熱費を節約している場合は、実際よりも使用量が多すぎる場合がある。毎月の金額を減らし、利益を普通預金口座に入れ、定期的に消費を追跡するのがいいという。そうしないと、エネルギー供給業者が倒産した場合に、お金を失うリスクがある。
将来の支出を検討することは有益だ。今後数年間でどの電化製品、輸送手段、家具を交換する必要があるか、家の維持費はいくらか、休暇などのどの費用を節約したいか? 概要を把握したら、経費を計画し、固定費を節約する。テレビ、電話、インターネットのオールインワン パッケージや保険料は、消費者協会やインデペンダーなどの比較サイトで確認できる。
必要に応じて、Warmtefonds.nl からのローンを利用して、家庭のエネルギー効率を高める計画を立てるのもいい。今年はソーラーパネルに付加価値税を支払わず、すでに断熱対策1件分の補助金を受け取ることができるはずだ。住宅のエネルギー ラベルを改善することに成功した場合は、投資を 2 回回収できる。エネルギー コストの削減と、住宅の売却によるものだ。F または G とラベル付けされた家は、売るのが難しいためこれを改善するための投資をすべきだ。
どういう対策をするのも、なにもしないよりはましだという。
2022-11-30
インフレ減速するなか、食品は軒並み値上げ

オランダの11月のインフレ率は11.2%だった。たしかにこの数字は高いものの、過去数ヶ月に比べると減速している。ただ、食品、アルコールそしてタバコは昨年比で大幅に値上がりしている。インフレ率は先月に比べると5.6%下がっている。中央統計局(CBS)によると、エネルギー費が下がったことが要因だという。
10月にはエネルギー費は昨年同月と比較し100%上がっている。それが11月は40%の値上げに留まった。「もちろん上げ幅は高いが、他の月に比べると低い。」とCBS.
昨年からエネルギー費は大幅に値上がりしている。しかし、値上がりの幅は下がっており、ガソリンなどの車両燃料費はだいぶ安くなっている。
光熱費の上昇が減速し、全世帯が補償金を受け取るなど、一時のショックは薄れつつあるものの、食品などの毎日の買い物にはほとんど影響はなく逆にかなりの勢いで上がっている。
2022-10-20
世界最大の半導体チップ製造ASML, 不況もインフレもどこ吹く風

半導体チップ製造機械メーカーであるオランダのASMLの第3四半期の業績は期待以上だった。世界的なインフレ、景気後退への恐れ、消費者信頼度の劇的な低下などにもかかわらず、同社の売上はさらに記録を更新し続けている。
ASMLは、フェルトホーフェンに本部を置く半導体製造装置メーカー。半導体露光装置を販売する世界最大の会社で、16カ国に60以上の拠点を有し、世界中の主な半導体メーカーの80%以上がASMLの顧客である。
売上高は 当初の予測である51億ユーロを大幅に超え、58 億ユーロに達している。さらに利益率は第 3 四半期でも約 52% という夢のような業績を達成している。CFOのダッセン氏によると、不確実性は数か月前よりもはるかに大きくなってはいるものの、顧客が一斉に脱落する原因となる極端な開発が行われない限り、グループは2023年もこの状況は続くと確信している。
また、世界中の政府がチップ生産を他国に頼らず、自国で行いたいと計画していることも追い風となっている。その結果、より多くのチップ工場が建設されることで、ASML は中期的に利益を得ることができる。またコンピュータ チップが世界的に不足していることからも恩恵を受けている。
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