2023-03-11
土曜日ハーグで大きなデモ2件、目的は?
国会や政府の主要機関が並ぶハーグ市で、土曜日2つの大きなデモが行われている。農業従事者の抗議活動と気候変動対策に関するデモである。
農家が抗議しているのは、政府の窒素排出規制と社会的な問題である。窒素排出規制で農地を売却したり事業を手放すことが強制されている農業従事者の抗議は昨年から続いている。組織しているファーマーズ・ディフェンス・フォース(FDF)は、他の社会的問題に関しても政府に対し抗議を行っている。たとえば、昨年大きな問題となった保育費助成金の強制返金問題や、フローニンゲンでのガス採掘に関する問題である。どちらも政府の政策の過ちに対し多くの国民が憤りを感じている。
農家は農業の象徴であるトラクターに乗ってデモを行う計画だったが、政府はこれを禁じている。
ほぼ同時に行われているのが気候変動対策に抗議するデモだ。エクスティンクション・リベリオン(XR)という気候変動アクティビストのグループが、一般の国民が気候変動に目を向けるために行うデモである。とくに、政府が行っている化石燃料を生産する企業への助成金や税控除などに対し怒りを表明している。XRはハーグ付近の高速道路A12を閉鎖している。
XR活動家によれば、オランダ政府は170億ユーロ以上を化石燃料に助成金として非課税措置を行っているという。たとえば、航空機が使用する燃料は非課税でこれだけで24億ユーロ、燃料の輸送も非課税でこれは15 億ユーロ。発電におけるガスと石炭に対する8億ユーロ相当の税金が免除されているなどだ。
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2022-07-06
農家デモで暴動、警察が高速道路で発砲
オランダ北部ヘーレンフェーンで火曜日夜22時40分ごろ、警察が農家のデモ隊に発砲するという事件が起きた。警察によれば、ヘーレンフェーン近くの高速道路A32上で、トラクターに乗りデモをしていた農業従事者たちが、パトカーに乗り込むなどの暴動行為を起こしたため、警告の意味で発砲したという。トラクターには命中したが、負傷者は出ていない。この暴動で警察は3人を逮捕している。現在、警察ではこの発砲行為が正当であったかを調査中である。
火曜日夜にはオランダ全土で農家によるデモが行われた。高速道路A50ではアーネムとアペルドールンの間がトラクターで封鎖されている。また同時に干し草の俵やタイヤを燃やすなどの行為に出て、消防車が出動する事態に陥った。また、ヘルダーマルセン(Geldermalsen)とヴィエルト(Weert)では、スーパーマーケットの流通センターを農家が一時期占拠した。フリースランドのシント・アナパロヒーでは、トラクターが野菜果物の配送センターに乗り込んでいる。
窒素排出規制に反対する農家は今週の月曜日から大々的なデモを行っている。これまでもトラクターで高速道路を走行し、交通を妨げるなどのデモは行っていたが、今週からは規模や内容が深刻化している。流通センターを占拠されたスーパーマーケットも数千万ユーロの損失を被っている。政府は今回の暴動などに対し「一般の人を困らせない合法なやりかたでデモをすべき」だとコメントしている。
水曜日の朝にはフローニンゲン空港の占拠が予定されているが、検察、警察そして市当局との交渉済みだという。
2022-07-01
エスカレートする農家のデモと破壊行為とその背景
このところ、農業従事者による高速道路の閉鎖や警察に対する暴力、そして担当大臣の自宅への侵入といった事件が続いている。高速道路にトラクターを連ねて行うデモは違法ではなかったが、だんだんとエスカレートし、警察に対し暴力を振るったりするなど、違法行為も目立つようになり、ルッテ首相も断固として立ち向かう姿勢を示している。
さて、この農業従事者のデモは何に対して反対しているのか? 彼らは何を恐れているのだろうか? 根底にあるのは地球温暖化とその原因となる環境汚染に対し、政府が目指している窒素酸化物削減方針である。二酸化炭素削減と平行して目指しているのは窒素酸化物削減で、この原因のひとつが農家による窒素酸化物排出である。
窒素酸化物を発生させているのは農家だけではなく、車、航空機、工場などがある。農家はアンモニアという形で窒素を廃棄している。窒素は自然界に必要な物質なのだが、多すぎると生態系に障害を及ぼしたり健康上の被害ももたらす。政府は2019年から、高速道路でのスピード制限と建設制限、そして農家の廃棄物制限といった措置を開始した。窒素排出量は、2019年と比較して2030年までに半分にすることを目標としているが、他の分野と比較し農家の窒素排出が減っていない。政府は今年の6月に「自然保護地区付近の農家は窒素排出量を70%減らさねばならない。」と発表、これを期に農家の反発が始まった。
農家による窒素排出は、酪農農家の糞尿と農作のための肥料による。排出量を70%減らすということは、家畜を半分に減らすなど、これまでのビジネスを存続できない危機に直面する可能性も出てくると、農家は恐れている。
専門家によれば、肥料を希釈したり、家畜の糞尿処理の方法を変えるなどで、このままのビジネスを維持できる可能性もあるという。ただ、オランダの農業は一般的に効率化と生産量を重視していることにも窒素排出過多の原因となっていることも確かだ。
いずれにせよ、政府と農家の見解の差を話し合う機会が設けられる予定だ。
2021-11-08
政府のコロナ規制に反対する大規模なデモ
先週末から施行されているコロナ規制で、マスク着用やコロナチェックQRコードの提示などが義務付けられた。オランダのコロナ感染者数を見れば、この規制は適切で、他の欧州諸国に比べると開始時期は遅いし、規制もそれほど厳重ではない。それでもこの規制やワクチン接種に反対する人はいる。
7日日曜日、2万人から2万5千人の参加者がハーグに集まり、政府のコロナ規制に反対するデモを繰り広げた。デモ隊は中央駅そばのマリーフェルドを開始点に国会付近を行進した。警察隊が行進を誘導していたが、花火や爆竹以外の暴力などはなく終了している。
参加者の多くがプラカードや横断幕を掲げ、コロナ規制に対する反対や、ルッテ内閣の批判を表明していた。「愛、自由、反独裁者(ルッテ首相を指す)」というプラカードや「我々は嘘にうんざりしている」などの政府への批判が目立った。また行進ルートの電柱やゴミ箱に「メディア=ウィルス」、「コロナワクチン=毒」というステッカーが数百枚貼られていた。行進は問題なく行われたが、政府を批判する人たちの怒りが目立った。
デモは数十の団体がまとまった「オランダのための共生」という団体が組織している。
2021-08-25
アフガン難民受け入れ施設、抗議者デモで放火も
アフガニスタンの米軍撤退とタリバンの侵攻にともない、オランダ軍で通訳として働いていた人たちなどが難民としてオランダに到着している。火曜日夜、難民受け入れ施設のひとつであるオランダ軍事施設ヘルダーセ・ハルスカンプの前で住民による抗議デモが行われた。ハルスカンプはヘルダーランド州のエーデ市にある村で、クレラー・ミュラー美術館にも近い。
「オランダ国民を優先しろ」「ハルスカンプは我々のもの」といったプラカードを掲げた約250人が、受け入れ施設の前に集まりデモが行われた。最初は静かな抗議だったが、夜9時半ごろになると、車のタイヤを燃やしたり大音響で音楽をかけるなどエスカレートした。警察が介入し騒ぎが収まったのは11時頃だった。
ハルスカンプの難民受け入れ施設にはアフガニスタンを逃れた人用に800のベッドが用意されている。
アフガニスタンからの難民は現在一時的に軍隊の施設が使用されている。フローニンゲンのザウトカンプ、ザイスト近くのハウス・テル・ハイデ、そしてこのハルスカンプである。ナイメーヘン近くのヘウメンスオードにも近々4箇所目の受け入れ施設が開かれる。難民受け入れ機関(COA)によれば、1日に200人から400人のアフガン難民がオランダに到着しているため、さらに多くの受け入れ施設が必要とされる。
2021-03-15
ハーグで政府のコロナ政策に反対する大規模なデモと暴動
政府のコロナ対策に反対するデモが日曜日ハーグのマリーフェルト(中央駅付近)で行われ、これが暴動に発展した。警察は花火などで対抗する抗議者をや放水などで対応し数名を逮捕した。この日は17日に行われる総選挙前最後の日曜日で、政府の対策への抗議を示す人たちが集まった。
200人の参加が事前に許可されていたデモは14時ごろに開始されたが、時間が経つにつれ抗議者は数千人へと膨らんだ。政府は事前に参加者同士の距離を保つよう通達していたが、これが全く守られなかったため警察が介入したもの。警察は解散を呼びかけたが、これに従わなかったため警察犬や騎馬隊がデモ参加者の間に導入した。一部の抗議者は別の地域へと逃げたが、最終的には逮捕されることになった。このデモは「占領下オランダ(Nederland in Verzet)」という団体が組織したもの。
このデモと暴動に対し、アムネスティ・インターナショナルは、警察が警察犬の導入や警棒で叩くなど過剰な暴力で対応したと批判している。
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